『息子のバイバイ!』

(S・Yさん 50代女性 三重県在住)

息子の20歳の誕生日に、親子をテーマにしたライフコースをプレゼントしました。
彼は小さい時から人見知りが強く、中2の時、私たち親の離婚とともに、学校へ行かなくなり、ほとんどを家で過ごす生活を送るようになっていました。
どうしたら外へ出られるのだろう?

昼夜逆転し、寝てばかりいる息子の姿に私はいらだち、衝突しながらも、親として出来る限りのことをしたのですが、息子が動き出すことはありませんでした。

ミロスを知り、様々なカリキュラムに参加する中で、親子のテーマを見ることが大切だと感じ、ライフコース「人間関係・親子編」を彼に勧め、私も一緒に出ようと決心しました。

息子は、同じグループのみんなの前で、母親として聞きたくないことも言葉にしてくれました。

「感情的な母が嫌い。だから感情を出すことが嫌だ」
「離婚したのは、僕が原因じゃないかとずっと思ってきた」

・・・やはりそう思ってたのか!それを聞けたことで、「そうじゃない!逆だよ!あなたがいてくれたから、離婚をせず夫婦を続けてこられたんだよ!」。20歳になった彼にやっとそれが言えました。

講師が、口数の少ない彼に聞いて下さいました。「10年後・・・いや40歳になった時にどんなふうになっていたい?」

しばらく考えて、彼は「仕事をもって、家庭を持ちたい」。彼の言葉に驚き、そして、その言葉が、彼と私を動かしました。

このライフコースを受けている時、親の私は、仕事でつまずきどうしようもない状況にいました。
そして、その後休職。大きな挫折・・・。仕事をしないで家にいる。寝てばかりでぼーっとしている。許せない自分。
家には、同じように寝ている息子がいます。

怠けているように見えた息子の生活を体験してみて、こんなことを6年もしている彼がもの凄いなあと思えてきました。
自分を責めながら引きこもるということが、どんなに疲れて、誰にも会いたくなくて、どれだけ人の言葉が心に突き刺さるか・・・。
そして、自分の鬱を認め、鬱をテーマにしたライフコースを受講しました。
 
そんな時、離れて暮らす年老いた母から電話があったのです。
母には以前、できる子をずっと演じてきた私が、せっかくつかんだ夢の仕事を休むことを、ようやくの思いで伝えた時、母から返ってきた言葉は「辞めるな、頑張れ」でした。
私の気持ちを理解してもらえなかったのです。

そして、この日も母から「仕事行ってるんか?」と聞かれると、震えるほどの怖さが出てきました。
とっさに、「もうすぐ仕事に行くから心配せんといて」母を心配させないために、嘘を言いました。

その時、「これだ!世の中の全てのことで、私が怖かったのは、母の怒り。怒られるのが怖かったんだ」と分かったのです。
いつも私の気持ちを分かってくれない母。
「お母さんに、そのまんまでいいよって、一度でも言われたかった」
頑張って、頑張ってきた自分の人生。できない自分を嫌ってきた。

「息子もそうなんだ。私に分かってもらえなくて、そのままでいいよって言ってもらえなくて、苦しんでいるんだ」

そんな気持ちがこみ上げ、居ても立っても居られず、家で寝ている息子に本気で謝りました。
「ごめんなさい」息子は、いきなり涙ながらに抱きつかれて、きょとんとしながらも、すべて通じていました。
親子なんだなあ、と思いました。 

それから、「彼がそのままの彼でいられる場所はどんなところなのか?」とイメージしていると、本当にその通りの居場所に巡り会えたのです。
働きながら仲間と楽しく、理解のある事業主のいる職場で、もう4か月通い続けています。
「毎日が楽しい」と笑顔で言える彼。20年生きてきて、初めての経験です。

先日、ある講師の言葉から自覚したことは、「人(母)に合わせて、自分を無くして生きてきた自分」、「プラス(できる自分)もマイナス(できない自分)もなければ、自分は存在できないこと」でした。

すると翌日の朝、息子が仕事に行く前、わざわざ二階に来て、洗濯物を干している私に笑顔で「バイバイ!」と手を振りに来てくれました。なんて爽やかな笑顔!

嬉しくて涙がこみあげる。ステキな青年に育ちました!

私も、「マイナスを嫌った自分」と笑顔でバイバイ!
できてもできなくても、怒られても怒られなくても、家にいてもいなくても、「そのまんまでいいよ!」って、母から言ってもらいたかったんだな、と思いました。

20歳の息子へのプレゼントは、母から私へのプレゼントだったようにも思います。

休職中、沢山の講師、仲間に支えられました。
今、新しい仕事を始め、セカンドライフの創造を楽しんでいます。