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全ての問題を超える鍵-マリッジバランス-
第1回 一瞬のうちに変わった社会の人間関係
第5回 深刻な嫁姑問題の解決法
嫁と姑の間には意外な関係性があった
女性にとって嫁と姑の間柄は、敬遠したい人間関係かもしれません。
もしあなたが嫁の立場で、自分の母親とうまくいっていないとしたら、夫の母親とよい関係を築けるでしょうか。
嫁姑問題に関わらず、あらゆる人間関係のトラブルの根源は、自分の中にいるもう一人の自分との関係性にあります。
私たちは常に他人と比較して、ありのままの自分を認められずに、無意識のうちに抑圧してしまいます。
そして、まったく違う人間を演じて、それを自分だと勘違いして生きています。
自分を生きていない――。
そんな自分不在の人生がうまくいくはずはありません。
自分で自分のことを傷つけている"無意識"の部分は、人間関係に現れるのです。
女性は結婚することで、姑との縁が繋がります。
縁とは自分を知る為のプログラムです。
前号で述べたように、夫婦は互いに自分のすべてを映す究極の「鏡」。
そして夫の内側の女性性(母から受け継いだ遺伝子情報)が現実に引きつけた女性が嫁です。
つまり嫁にとって姑は、自分の中に抑圧されたものが強烈に映し出される鏡になるため、抵抗感を持つのは仕方のないことなのです。
しかし、自分を知ることであらゆる問題を終わらせることができます。
そのためには、私達の生きている"鏡の世界"を理解しなくてはなりません。
幼い時の辛い体験が姑の問題と繋がっていた
そこで、鏡に映し出された自分を理解することで問題が終焉した、ある女性の体験をお話しましょう。
いかに人が思考の作り出す、幻想の世界に生きているか、お分かりいただけるでしょう。
その女性は何十年もの間、姑との関係に苦しんでいました。
姑からは何をやっても認められず罵倒される毎日が続いても、自分が我慢すればよいことだと思っていました。
一見、鬼のような姑が悪いように見えます。
でも、この世界は「鏡」です。
姑の姿は彼女の姿であり、彼女が自分のことを攻撃しているということなのです。
一体何を攻撃しているのか、何故それほどまでに良い嫁を演じなくてはいけないのか? その部分にこの問題を終わらせる「鍵」が隠されていました。
目の前に起こる問題は今起きているのではなく、過去の出来事が心に傷をつけ、その結果生まれた観念体系がつくりだしている現象です。
ですから、その現象によって沸き起こる感情に繋がることで、必ず原因の根本を見つけ出すことができます。
ポイントは「鏡」を見る力です。
目の前の鏡に映るものを、見たまま、感じたまま、自分だと理解することです。
鏡には当たり前のように自分の顔が映っていますが、鏡が無ければ自分の顔は見えません。
まさにこの世界も同じで、鏡なくして自分を知ることはできないのです。

これまで「私」だと思っていた自分は思考がつくりだした幻想であり、「鏡」を使って知る自分の内側こそ、 実在する本当の自分なのです。
さて、この女性が姑に感じたことは、”認めてもらえないことへの怒りと悲しみ”です。
その怒りと悲しみはどこから来ているのか? なぜ自分を犠牲にしてまで認められたいと思うのか? 感情の根源を辿っていくと、記憶は7歳の頃に遡りました。
彼女は致命的な交通事故に遭い長期の入院生活を送りますが、その間、海外に単身赴任中の父親は一度も会いに来てくれませんでした。
そのことが彼女の心の中に"父に愛されていない"という大きな傷をつくりました。
そしてその辛い気持ちを忘れようと父親を自分の心から締め出したのです。
また、退院後も父親は単身赴任は続きました。
父親不在の家庭を支えようと、彼女の母親は支配的で過干渉気味に厳しく娘を育てたのです。
彼女は、母親の顔色を伺って自己主張を遠慮し、感情表現の乏しい大人に成長しました。
そして、両親との関係性が築けなかった為、人との付き合い方がわからず、 対人関係そのものから顔を背けるようになってしまいます。
しかし、人間は一人では生きられません。
他人との絆を求めて、自分を認め、愛してくれる人を探し、相手に認められたいがために自己犠牲的な行動をとるのです。
特に異性関係については父親を断ち切ったことから男性との付き合い方がわからず、いつも相手に振り回される関係性に陥ります。
自分を愛せないと同化や依存関係に
人間関係の基は両親との関係性で学びますが、彼女は支配的な母親に対して「相手との同化」する関係性を築きました。
大人になっても大きく影響していたのです。
彼女に限らず、自分を愛せない人の対人関係は、相手に同化する関係か、 あるいは相手から依存されることに自分の存在価値を見い出す関係にあると言ってもいいでしょう。
このケースとは逆に、自分が相手を攻撃する場合にも同じ事が言えます。
この世界は"相対の世界"といって、"全てが二極に分かれてセットで存在する"という仕組みになっているため、攻撃するかされるかは、表れ方が違うだけで、実は根元は同じなのです。
彼女は嫁姑問題を通して、自分の根源の傷に触れ、観念体系を理解しました。
両親の状況を理解して許すことができたのです。
そして自分を許すことができたのと同時に愛が湧き起こり、解放された喜びに満たされました。
自分の本当の姿を映してくれた姑にも感謝でき、完全に自分の内側との闘いは終わったのです。
するとその日、自宅に帰った彼女に信じられない出来事が起こります。
彼女が勝手口から入ると、目の前に姑が立っていました。
「あなたのお陰でこの家は良くなった。ありがとう」と抱きついてきたのです。
自分の根源を知ることで自分の世界は反転します。
目の前は自分の「鏡像」だと理解し、見るもの(自分)と見られるもの(鏡)が一体化したとき、 思考のつくりだした幻想は終わり、真実の世界が現れます。